FUJI MOTORSPORTS MUSEUM

SUNBEAM GRAND PRIX

サンビーム・グランプリ

前輪ブレーキの必要性をレースで証明

サンビーム・グランプリ

1922年・イギリス

展示中

サンビーム社は1897年に自転車製造業として起業され、1900年には自動車製造に進出。高級車開発にはモータースポーツ技術が必須との考えから1907年にはレース参戦を開始し、主要レースで大きな成功をおさめた。1909年にヒルマン社から移籍した技術設計者ルイス・コータレンの手によってほとんどの部品を自製するようになり、サンビームの開発はさらに進歩していった。コータレンは「レースは車を改良する」と考え、サンビーム車の優秀さを研ぎ澄ませるためにモータースポーツに好んで参加した。

展示車は第一次世界大戦後の1922年、フォーミュラ新規定(排気量2リッター以下、車重650㎏以上)が導入されたストラスブール・グランプリ用に製造された4台の内の1台である。パワーユニットとして英国で初めてDOHC 4バルブエンジンが採用されており、後部に縦方向にスペアホイールを搭載する流線形のアルミニウム製ボディが特徴的だった。当時は前輪にブレーキを装着することは操舵の妨げになると考えられていたが、サンビームは制動距離を短縮するために前輪にもブレーキが必要であることを証明してみせた。これはモータースポーツを通じて「自動車にとって何が大事か」を決定的にしたエピソードの一つであり、それ以降、すべての自動車に前輪ブレーキ装着が普及していくことになる。

車両データ
年式
1922
国籍
イギリス
メーカー
サンビーム
全長
3,890mm
全幅
1,489mm
全高
1,195mm
ホイールベース
2,488mm
重量
662kg
エンジン型式
水冷直列4気筒DOHC
総排気量
1,975cc
最高出力
65kW/88PS/4,200rpm
展示期間 2022年10月7日~